おすすめ恋愛映画【邦画編】大人女子必見!男性の想いが印象的な2作品

2017/03/23

2000年以降のわかりやすい青春映画のことをキラキラ青春映画と言うのだそう。(キネマ旬報 2017年1月下旬号)昔は恋愛映画が好きだったけれど、最近のキラキラ恋愛映画はすっかり苦手になってしまったという女性の声も少なからず聞こえてきます。ここではそんな女性にこそ観てほしい、男性のまっすぐな想いが印象的な2本のおすすめの恋愛映画を映画ライターの結木千尋がご紹介します。
おすすめ恋愛映画【邦画編】大人女子必見!男性の想いが印象的な2作品

おすすめ恋愛映画【邦画編】切ない恋愛にきゅんっとする『好きだ、』

監督・脚本・撮影・編集:石川寛
音楽:菅野よう子
出演:宮崎あおい、瑛太、西島秀俊、永作博美、加瀬亮、大森南朋、小山田サユリ

おすすめ恋愛映画『好きだ、』の あらすじ

ユウ(宮崎あおい)とヨースケ(瑛太)は同じ高校に通う17歳。
クラスも同じで席も近い。野球部だったヨースケは部活を引退し、今は川辺でギターを練習するのが日課だ。
ユウも学校帰りにはそこに寄り道し、なかなか同じフレーズから抜け出せないヨースケのギターをずっと聴いていた。

思春期の恥ずかしさからかお互いに惹かれ合いながらも付かず離れずの2人だった。
ユウには姉(小山田サユリ)がいる。姉は半年前に大切な人を亡くした。ユウはもちろん、ヨースケもそんなユウの姉のことをいつも気にかけていた。

ある日、ヨースケの気持ちが姉にあるのではと感じたユウは、自分の気持ちとは裏腹にヨースケと姉の待ち合わせを取り付けてしまう。しかし、その待ち合わせに向かう途中でユウの姉は事故にあい、そのことをきっかけにして2人は疎遠になってしまうのだった。

17年後、東京の街には音楽業界の端っこで仕事をするヨースケ(西島秀俊)の姿があった。高校時代に志した音楽で生活しているとはいえ、思い描いた理想とは遠い日々にすり減るばかりの毎日だ。今日はギターのレコーディングに立ち会う。その現場で聴き覚えのあるギターのフレーズを耳にするヨースケ。思わぬ場所で17年間会っていなかったユウ(永作博美)と再会するのだった。

『好きだ、』のストーリーをより引き立ててくれる音楽は菅野よう子が担当

監督は『tokyo.sora』や『ペタルダンス』でも知られる石川寛監督。
いわゆるミニシアター系映画が持つ独特の空気感や、美しい風景の描写が得意な監督です。
そのふたつが得意な監督と言えば、岩井俊二監督が余りにも有名ですが、『花とアリス』や『リリイ・シュシュのすべて』などが持つ岩井作品の雰囲気が好きな女性にもこの作品は安心しておすすめできます。

しかし、石川作品の真骨頂はそんな柔らかい雰囲気だけではありません。彼の作品は女性をとても魅力的に切り取ります。『好きだ、』の中でもそれは随所に見られるので、この作品で宮崎あおいと永作博美の新たな魅力に気付く、なんてこともあるかもしれません。個人的には数多くある宮崎あおいの出演作品で、1,2を争う作品であると思っています。

音楽は菅野よう子。ゲームをはじめ、アニメ、CM、ドラマ、映画に至るまで、世にあるBGMと呼ばれる類の音楽はすべて通ってきた彼女。
この作品の中でも才能を遺憾なく発揮しており、必要以上の主張はせずともただそっとそこに佇むような音楽は、様々なBGMに携わってきた彼女ならではと言えるかもしれません。
また、彼女は2017年NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』や映画『海街diary』の音楽も担当しています。今ここで初めて知ったつもりでも、思わぬところで彼女の音楽に触れているのかも?

『好きだ、』をすべて観たあとの感想

思春期の鈍感な男子高校生の気持ちと、そんな男に恋心を抱いているがゆえ、一挙手一投足にやきもきしてしまう女子高校生の気持ち。

今どきのわかりやすくドキドキを体感するような青春恋愛映画にはない、敏感に揺れ動く男女の心の機微を瑞々しく描いています。あらかじめ筋書きを決めず、役者に任せるのが石川監督のやり方。思った絵が撮れるまでカメラを回し続けるからこそ自然体で温度のある演出になるのかもしれません。

ほぼ全編にわたってアドリブ中心で撮影された映画なんて観たことがありますか?そういった部分やワンカットの長さにも注目してもらえれば、さらに楽しめる映画になると思います。「ありがちな恋愛映画はもうお腹いっぱい」というような大人の女性にこそおすすめの映画です。

おすすめ恋愛映画【邦画編】別れの後には孤独だけが残る『トニー滝谷』

監督・脚本:市川準
原作:村上春樹
音楽:坂本龍一
出演:イッセー尾形、宮沢りえ、西島秀俊

おすすめ恋愛映画『トニー滝谷』のあらすじ

トニー滝谷(イッセー尾形)はいつも孤独だった。
ジャズミュージシャンだった父は演奏旅行で家を空けることが多かったし、母はトニーを産んだ3日後に亡くなった。トニーにとって孤独は当たり前のことで、特に寂しいとは思わなかった。

絵を描くのが好きだったトニーは美大に進学し、イラストレーターの仕事をするようになる。
ある時、仕事で自分の元を訪れた編集者(宮沢りえ)にトニーは恋をした。彼女は服を着るために生まれてきたような女性で、いつもとても自然に服を纏っていた。

何度かのデートののち、トニーは彼女に結婚を申し込んだ。トニーの孤独な日々は終了した。孤独ではなくなったトニーはいつかまた孤独になってしまうのではないかと孤独を恐れるようになった。
彼女との日々はとても幸せだった。しかし、優秀な妻だった彼女にも1つだけ問題があった。それは彼女があまりにも多くの服を買ってしまうことだった。

トニーは買い物を少し控えてはどうかと彼女に提案し、彼女もそれに応じようとするが、それがきっかけで彼女は事故死してしまう。
彼女の死が受け入れられなかったトニーは、彼女の体格に似た女性をアシスタントとして募集し、彼女が遺した服を着て仕事をしてもらおうとするのだった。

『トニー滝谷』の原作は、村上春樹

原作は村上春樹。
国内外を問わず認められている日本を代表する作家です。
元々彼は自身の作品を映画化することに慎重で、『ノルウェイの森』の映画化が決まったときには大きく世間を騒がしました。そんな彼の数少ない映画化作品のひとつがこの『トニー滝谷』です。

メガホンを執ったのは市川準監督。この作品は彼によって静かでとても繊細なものとしてまとめ上げられました。市川監督自身、村上春樹作品を愛読していたそうで、一貫した世界観は原作と同じ方向を見てディレクションしているからこそ。

また、ある海外サイトでは過小評価されている邦画ランキングの1位に選ばれました。一般的に映画と言われてイメージするものとは違い、セリフよりも静寂やナレーション、場面転換でこの作品は話が進んでいきます。そこにあるはずのものがないことで起こる余韻を美しく描いていく。日本文化特有の美的感覚を映像に落とし込んだこの作品の価値は市川監督なくして語れません。

そして、その世界をさらに印象的にしているのが坂本龍一の音楽です。
彼もまた、村上春樹と同じように国内外を問わず認められている音楽家。映画音楽だけ取り上げても『戦場のメリークリスマス』はあまりにも有名です。この作品の音楽では完成した映像を観ながら即興でピアノを演奏したそう。リアルタイムの観た印象を第一に置くアプローチだけに音楽が映像に寄り添った一貫性のある作品に仕上がっています。

『トニー滝谷』をすべて観たあとの感想

あらすじだけを見ると、一見女々しい男性が主人公の映画であり、気乗りしないと感じてしまう女性もいるかと思います。
しかし、観た後の印象は確実にそれを裏切っていることを約束します。
生まれながらにして孤独であることが当たり前だった男が、ある女性との出会いを通じて孤独ではないことの素晴らしさに気付く。が、その女性との別れをきっかけに以前にも増して強い孤独を感じるようになる。

彼なりに一生懸命にその孤独と向き合おうとします。2017年『沈黙-サイレンス-』でその演技を絶賛されたイッセー尾形と、2016年『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本の映画賞を席巻した宮沢りえ。2人の姿を追ってこの作品を観るのもタイムリーと言えるのではないでしょうか?『トニー滝谷』の静かで繊細な世界をぜひ感じてほしいです。

まとめ

おすすめ恋愛映画【邦画編】2選

  • おすすめ恋愛映画【邦画編】『好きだ、』
  • おすすめ恋愛映画【邦画編】『トニー滝谷』
についてご紹介いたしました。

結木千尋がおすすめする恋愛映画2選を深掘りしてご紹介しました。
この2作品は、切ないストーリーではありますが、観たあとは何か心に残るものがあります。
恋愛映画を探している方は、ぜひ観てみてください。
《この記事のライター》
ライター名:結木千尋
映画・音楽ライター兼コラムニスト。
初対面の人に「絶対ウソ!」と言われる、人当たりのいい人見知り。
これまで生きてきてようやく気づいた大好物はグリーンカレー。
軽度の炭酸依存症。
ありのまま生きていきたいものです。もちろんお酒とともに。
22 件

この記事が気に入ったらシェアしてね♪

- 関連するタグ -